2013年8月13日火曜日

『映画 イースタン・プロミス、ロシアンマフィア、麻薬』



かなり前になるが「イースタン・プロミス」という映画を観た。


この映画はロシアンマフィア、人身売買などかなりキワドイものを題材にしているためこのような(性、暴力描写がある)映画に耐性を持っていない方にはおすすめはしない。


もう観た方はこの映画をどう評価するだろうか。私ははじめてこの映画を観た時「なんで映倫はR−18指定にしたのか?」と疑問に思った。主役のヴィゴ・モーテンセンの陰茎がサウナでの格闘シーンで見えているのが原因なのか(冗談)


観た当時は正直この映画に関して深く考えることはなかった。何かしらのメッセージは勿論あるのだろうが、当時(現在の私も理解しきっていない)は全くと言っていいほどよくわからない映画だなというのが率直な感想である。


映画の話と並行して現実の世界「ロシア」で起きていること。


それは若年貧困層で急速に薬物、麻薬や覚せい剤などが広まっている問題である。


この薬物の問題は今に始まったことではないが、新しい薬物、ドラッグのマーケットとしてロシアは現在でも非常に大きなものである。(中国など新しい市場もあるが)


「黄金の三日月」と呼ばれるエリア、イラン、アフガニスタン、パキスタンがその対象であるがそれらの地域から流入してきており、カザフスタン国境付近で麻薬売買が行われてる。国境警備隊がいても広大な国土を持つロシアである。取り締まりにも限界があるのだろう。


ソ連崩壊後、政治、経済において深刻なダメージをを受けたロシア。国民は困窮生活を強いられて、辛い現実から逃避する手段としてウォッカなどのアルコール、麻薬、覚せい剤などを使用してしまう。


広大な国土は中央集権的、且つ独裁国家を形成しやすい土壌を持っているため、現在プーチンが「独裁者」のごとく民主主義政治を無視した政治を行なっている。


長期政権は政治の腐敗を招く。汚職の蔓延、マイノリティに対する暴行、殺害などは日常茶飯事であり、モスクワなど大都市だけでなく、中央から遠く離れた地域ではその質・量ともに都市部とは桁違いのものになる。


警察や役人の腐敗は凄まじく、またその力が及んでいない場所においてはタイトルにも書いたが、「ロシアンマフィア」といわれる暴力組織が地域運営をしている現状がある。


日本でもこのようなアンダーグラウンドな場所はあるが、ロシアと比較した場合、その規模、人口などは比べ物にならない。このようなマフィアの主な資金源といえば麻薬取引売買が挙げられる。ヘロインなど強い依存性と人体への悪影響を持った薬物だけでなく、新しい薬物が広まっている。

名前は「クロコディル」。阿片の3倍強力でヘロインの10分の1という低価格で入手することが可能であり、また主成分が比較的容易に入手することが出来るので自分で合成する者も多いという。「クロコディル」は当然ながら人体への悪影響は甚大なものであり、皮膚、筋肉、骨、脳などが壊死していくが、本人は薬物の強力な鎮痛作用によって気づくことなく身も心もボロボロになって死んでいく恐ろしい薬物である。

YouTubeにこのクロコディルがどのように若者の間で蔓延しているか、そしてその背景について詳しく紹介している動画があるので見てもらいたい。


最後にクロコディルが蔓延しているロシアの社会は問題であること、政府の管轄下に置かれていない地域におけるマフィアの影響力は絶大なものであることに触れておく。映画はロシアンマフィアの一部の面しか描いてないが、現実のロシアではマフィアと政府が密接につながっており、良い意味でも悪い意味でもこのマフィアがアウトサイダーたちの受け皿になっていること、そしていつの時代、どの地域においても弱いものは強いものから「搾取」されることを頭の片隅に入れておくべきだろう。ロシア社会とマフィアのつながりを映画を通じて見るならば「イースタン・プロミス」は良い作品である。

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